平成26年の労働安全衛生法の改正により、従業員50名以上の事業所については医師、保健師などによるストレスチェックを行うことが義務付けられました。ストレスチェックは健康診断の対象者と同様に考えるとされており、派遣社員もその対象になります。1年以上の契約や、更新により1年以上勤務していること、同じ事業場で雇用される一般の労働者の所定労働時間と比較し、4分の3以上の労働時間数があることが条件になります。厚生年金の加入がボーダーラインになると考えるとわかりやすいでしょう。
法令では、派遣社員のストレスチェックは派遣元が行うこととされています。高ストレス者と判定された場合、面接指導を受け、就業上の措置が必要になりますが、これらの対応を個人対応と呼びます。
個人対応は派遣元だけで行いますが、職場の環境を改善することを目的とする集団対応があり、この集団対応については派遣先に努力義務を課すのが適当とされています。しかし、派遣先は労働力を派遣元から購入しているという考え方があり、スタッフ本人と労働契約を結んでいません。また労働の内容について細かい契約をしていることから、就業場所や配置の転換には契約変更が必要になります。労働環境の変更には派遣先の協力が必要になりますが、労働環境の改善は容易ではありません。派遣元、派遣先の両方に負担を強いることになりますので、産業医の調整能力も問われることになります。そのため、ストレスの軽減が図れそうにない場合は、就業先そのものを変更したり、パートやアルバイトなどのワークスタイルに目を向けてみるのも一つの方法と言えるでしょう。